夢や意志を大切に尊重し、
個性を輝かせてくれる場所

物心ついて最初の記憶にあるクルマが、実家で乗っていた初代ステップワゴンでした。とにかく車内にいるのが好きで、寝たふりをしてまで一人でゴロゴロしていたくらい。当時から、「Hondaでクルマをつくりたい」と大きな夢を抱いていました。ホンダテクノフォートの採用面接でもその夢を語りましたが、面接官の方々は鼻で笑ったりせずに「いいね!」と真正面から受け止めてくれ、この会社を選んでよかったと実感したのを覚えています。

現在の職場も、目的さえ明確になっていれば、自分の意志や意見を上司が真摯に受け止めてくれる環境です。発言しやすいがゆえに思ったことをストレートに伝えてしまうこともありますが、それが間違っているときは指摘やアドバイスをもらえるので、ありがたく受け取りながら日々の業務に活かしています。

設計後にすぐ試作し実験するのではなく
CAE解析を通して目処を立てる

CAE解析とは、コンピューター上でさまざまなシミュレーションを実施し、性能を検証する業務です。現在私が担当しているのは、四輪車のインパネまわりの耐久性や安全性、熱による影響などの解析。運転席に座ったとき視界に入る内装全般について、国が定めた法規やHondaが定めた基準を達成しているかを検証し、達成していない場合はその要因を追及します。ダッシュボードをはじめ、スイッチ類、メーター、ディスプレイなど表面に出ているものだけでなく、それらを裏側で支える土台や、外側から見えない配線なども対象となります。
解析の工程は、設計したものを実際の部品や車体としてつくる前に、耐久性や安全性の目処を立てるための重要なステップです。実際にモノをつくって実験を行うとかなりのコストがかかるので、データ上のシミュレーションで完結できるCAE解析のメリットは大きいといえます。

解析する対象物にもよりますが、インパネの評価では、数週間から数ヶ月の解析期間が必要です。解析で問題点が洗い出されたら、どこが問題かを設計担当者に説明し、改良のための議論を何度も繰り返します。問題の要因を見つけ、その対策を講じてうまくいったときは、ついガッツポーズが出てしまうほどうれしいですね。
実のところ入社当時は設計を希望していて、解析への配属が決まったときは業務内容さえぼんやりとしか理解できていませんでした。今では解析の仕事を深く知るなかで、やればやるほどおもしろさが増してきています。

海外出張の経験から気づいた、
対面で価値観を共有する重要性

業務効率化の観点から、海外の協力会社へのアウトソーシングを進める動きも活発化しています。その一環として、現地スタッフの教育のために2022年にベトナムへ3週間の出張をしました。上司から「海外へ飛び出してみる?」と声をかけてもらい、初めての飛行機搭乗・初めての海外でしたが、思いきって挑戦。現地で働くベトナム人スタッフに解析の業務を教えるなかで、実際に顔を合わせてコミュニケーションを図ることの大切さを実感しました。
何のために解析をするのか、なぜ品質を保たなければならないのか。それを地道に、懸命に説明していくと、言葉や文化の壁を越えて伝わることが嬉しかったですね。オンライン化が進むなかでも、みんなで大切にしたい価値観は面と向かって伝えていくことが重要だと強く思いました。

現在、チームには「困ったらこの人に相談すれば大丈夫」という存在の上司がいます。知識の引き出しと経験の厚みが並外れた、いわば解析のスペシャリスト。その上司を追い越し、活躍を認めてもらえるよう、私も知識と経験をもっともっと積んでいきたいと思っています。