まだ世に出ていない新たな技術に
誰よりも早く触れられる

学生時代は生物化学を専攻していました。主な内容は、金魚を用い、嗅覚にある反応経路のシステム解析をすることで、人間の医療に役立てるための基礎研究です。
その経験を活かして就職したいと考え、ある医療系企業のインターンシップに参加した際、たまたま知的財産業務を体験。それがきっかけで興味を持ち、独学で勉強して「知的財産管理技能検定」の3級を取得しました。もともと新しいものが好きな性格なので、知的財産業務の「まだ世に出ていないものを会社のために権利化する」という仕事内容に魅力を感じたんです。

ホンダテクノフォートとの出会いは、知的財産部門の新卒採用を実施している企業が少ないなかで、募集を見つけたこと。クルマの知識はほとんどありませんでしたが、自分が挑戦したことのない新たな領域の仕事にワクワクしたのを覚えています。さらにここではHondaが誇る幅広い技術に触れることができ、Hondaは水素燃料に力を入れているので、将来的には学生時代に培った化学の知識を活かせたらいいなと考えたことも志望理由のひとつでした。

より牽制力の強い特許取得に向け
発明者や弁理士と議論を重ねる

知的財産の業務内容はなかなか想像しにくいかもしれません。私が担当している業務を大まかにいえば、発明者と弁理士の意思疎通を図る仲介役です。ここでいう発明者とは、四輪車開発を行う中で新しい技術を生み出したエンジニアのことで、発明を専門に仕事をしている人というわけではありません。 特許を出願する際、Hondaの発明者から新しい技術やアイデアについての相談を受け、特許出願用の書式に沿った原稿を作成します。その原稿は弁理士の有資格者のみが作成できるので、外部の特許事務所に依頼をするのですが、そこでは四輪車の特許を専門に扱っているわけではないので、発明内容を噛み砕いて伝えなければなりません。そこで私たちが発明者と弁理士の間に入り、出願へ向けた橋渡しの役割を担います。

一件の出願にはまとまったコストがかかるため、いかに「強い特許」を取得できるかが重要です。強い特許とは、海外を含めた他社に類似の発明で出願されるのを防ぐ、広範囲におよぶ特許のこと。強い特許を取得するという目標に向かって発明者や弁理士と議論を重ねる過程に、知的財産業務のおもしろさを感じます。

社内外を問わず多くの人とのつながりを経て
ひとつひとつ目標が達成できる喜び

やりがいを感じる瞬間は、出願に必要な書類や図面をまとめて特許庁への提出指示を行い、発明者に提出完了通知を送付したとき。物理や自動車の専門知識を交えながら、発明者と対等に議論を交わす業務は大変さを感じる場面もありますが、難局を乗り越えたからこそ味わえる達成感はひとしおです。

入社前は知的財産業務に対して個人で黙々と作業するイメージを抱いていましたが、実際に入社してみると人と話をする機会の多さに驚きました。Hondaの発明者をはじめ、特許事務所の方やサプライヤーの方など、国内外を問わず数多くの方々と日々やりとりをしています。もちろん社内には、行き詰まったときに手を差し伸べてくれる先輩たちの存在があり、とても心強いです。
先輩の教えや業務のなかで得た知識をひとつでも多く吸収し、将来は発明者が安心して発明を預けられ、Hondaにとって有用な特許をスムーズに取得できるような特許技術者になりたいと考えています。