クルマ漬けの学生生活から
おのずと見えてきた開発の道

二輪・四輪ともにレースで活躍するHondaが好きで、Honda車の開発に携わりたいと考えたのがホンダテクノフォートへの入社のきっかけです。

高校時代は情報技術系の学科でプログラミング言語を中心に学び、その後は四輪車について専門的に学べる学科へ進学しました。学業と並行して、一人乗りのレーシングカーをつくり、速さ・美しさ・燃費などの総合点を競う「学生フォーミュラ活動」にも励んでいました。大会には自動車メーカーのエンジニアたちが審査員として参加しており、部品の取り付け方や修理の仕方を直接教えてもらうなど、貴重な経験を積みました。

そんな背景もあり、クルマの知識に関しては多少の自信を持って入社したのですが、実際に業務が始まるとレベルの違いに愕然。業務量が多いなかでも、きちんと整合のとれた開発を行う先輩方の姿を見て、「すごい!カッコいい!」と思ったことを覚えています。

パーツ単体ではなく
車両全体を支える縁の下の力持ち

現在、電装開発を行う部署に所属しています。電装とは、自動車に搭載されている電気系統部品や装備のことで、電気自動車へのシフトに伴いますます重要になる部分です。そのなかでも私は、車体に搭載された4つのカメラを用いて運転者の視界支援を行う「マルチビューカメラ」の機能テストを担当。Hondaが定めた性能の基準に対し、部品メーカーのつくったカメラがしっかりと要求を満たしているか確認する作業です。
たとえば車体前方を映す「フロントビューカメラ」には、ナビ画面に映した際の景色の映り方に一定の基準があるので、実際の画面から比率を数値化し確認しています。一度のテストで完了するケースは滅多にないので、問題点を解決する対策を考えては再度部品メーカーに改良を依頼し、戻ってきたものをまたテストするという作業を、量産できる状態になるまで何十回も繰り返します。

他部署から「この部品を入れたいので、ハーネス(自動車用組電線)を縮められないか」などといった相談を受けることもあります。ハーネスは人間でいえば神経や血管に相当する重要な部品。ひとつのパーツを動かすと全体のパーツも連鎖して動かす必要があるため、その整合をとる作業もこの仕事の大変なところです。でもその分、クルマ一台を総括的に見てテストができること、そしてまだ世に出ていない試作車に触れられることが楽しく、やりがいにもつながっています。

実力を持った先輩から刺激を受け
着実に成長を重ねていく

開発途中は不具合がつきもので、入社当初は問題が発生するたび慌てていましたが、現在は冷静に問題点を抽出し解決する力がついたと実感しています。同時に、クルマを試作から完成へと近づけていく過程におもしろさを感じられるようになりました。自分の好きなことに携わり、なおかつその最前線に立っていられるのはうれしいですね。

先輩方からも「みちがえるほど成長したね」や「この問題は君にしか解決できないんじゃない?」と言ってもらえるのを嬉しく思う一方で、先輩方の問題解決力には圧倒されるばかり。先輩の手にかかれば、不具合を改善するための仮説を立て、実際にテストをしてみるとまさに正解!というような事象もよく起こります。
プロとして高い技術力を持つ先輩方についていき、私自身もスキルアップすることが当面の目標です。また、クルマやバイクで誰かの人生を楽しくし、ひとりでも多くの人を幸せにできたらいいなと思うので、いつか福祉車両の開発にも携わってみたいと考えています。